<反社会的勢力との関わり>
平成19(2007)年6月19日、犯罪対策閣僚会議の下に設置された暴力団資金源等総合対策ワーキングチームでの検討を経て、企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応について、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が取りまとめられました。
この指針にも支えられて、反社会的勢力の活動は下火となりつつあります。
また、お笑い芸人の反社会的勢力との関わりが発覚した事件を見ても、企業の所属メンバーが反社会的勢力と関わることによって、企業の信用低下を招くのは明らかです。
こうしたことから、各企業は、従業員が反社会的勢力との関わりを持たないよう予防策を講じる必要があります。
<就業規則の規定>
就業規則には、反社会的勢力との関わりを禁止する規定と、この禁止に違反した場合の懲戒規定をセットで置く必要があります。
禁止規定は、次の例のようになります。
【遵守事項】
第〇〇条 従業員は、以下の事項を守らなければならない。
( 中 略 ) ⑪暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団、その他これに準ずる者(以下「反社会的勢力」という)に該当しないこと。 ⑫反社会的勢力を不当に利用し、反社会的勢力の維持や運営に関与し、反社会的勢力と社会的に非難されうる関係をもたないこと。 ⑬その他当社従業員としてふさわしくない行為をしないこと。 |
また、懲戒規定は次の例のようになります。
【懲戒解雇】
第〇〇条 従業員が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第〇〇条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
( 中 略 ) ⑨第〇〇条第11項、同条第12項に違反し、その情状が悪質と認められるとき。 ⑩その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。 |
<誓約書の提出>
就業規則を周知することによって、反社会的勢力との関わりを禁止することはできるのですが、すでに関わりをもった人物が新たに入社してくることを防止することはできません。
そこで、新人の入社にあたっては、次のような誓約書の提出を求めるようにします。
令和 年 月 日
〇〇〇○ 株式会社 代表取締役 〇〇 〇〇 殿
誓 約 書
貴社に採用されるにあたっては、下記の事項を遵守することを誓約いたします。
記
一、暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋、社会運動等標榜ゴロ、特殊知能暴力集団、その他これに準ずる者(以下「反社会的勢力」という)に該当しないこと。
二、反社会的勢力を不当に利用し、反社会的勢力の維持や運営に関与し、反社会的勢力と社会的に非難されうる関係をもたないこと。
以 上
氏名 印
|
他にも誓約書の提出を求めている場合には、タイトルを「反社会的勢力の排除に関する誓約書」とすればよいでしょう。
<反社会的勢力と関わった従業員の解雇>
上記の就業規則や誓約書は、主に反社会的勢力との関わりを防止するための対策です。
実際に、従業員が反社会的勢力との関わりをもっていることが判明した場合には、安易に懲戒解雇などすることは危険を伴います。
地域の警察、暴力追放運動推進センター、弁護士会などに相談しながら、慎重に対応することをお勧めします。
社会保険労務士 柳田 恵一