<障害者雇用率>
障害者雇用率とは、雇用している障害者数の常用労働者数に対する割合を示したものです。
民間企業も、地方自治体などの行政機関も、法定の障害者雇用率を達成することが義務付けられています。
<障害者の法定雇用率>
障害者雇用率制度は、昭和35(1960)年に身体障害者雇用促進法で初めて導入されました。
このとき、民間企業には努力義務として、工場などの現場的事業所が1.1%、事務的事業所が1.3%と定められました。
これが、昭和43(1968)年には、すべての事業所で一律1.3%になりました。
さらに、昭和51(1976)年には1.5%となり、努力義務から法的義務に高められました。
その後、昭和63(1988)年に1.6%、平成9(1997)年に1.8%、そして平成25(2013)年に2.0%へと上昇しています。
平成30(2018)年4月現在、民間企業は2.2%、特殊法人は2.3%、国や地方公共団体は2.3%、都道府県などの教育委員会は2.2%となっています。
このように法定雇用率は、法改正を重ねるたびに引き上げられ、民間企業では年々障害者の雇用者数が増加し、障害者雇用率も上昇してきています。
今後の予定として、平成30(2018)年4月から3年以内に、民間企業の法定雇用率は2.3%になります。国等の機関も0.1%引き上げられる予定です。
<法定雇用率が適用される事業主の範囲>
平成30(2018)年4月1日から、現在の法定雇用率となりましたが、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲も、従業員50人以上から45.5人以上に変わりました。
法定雇用率が2.3%となれば、対象となる事業主の範囲は、従業員43.5人以上に広がります。
また、対象事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況を、ハローワークに報告することになっています。
<計算の対象となる障害者>
現在の障害者雇用促進法では、以下の障害者を「対象障害者」としています。〔37条2項〕
・身体障害者
・知的障害者
・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の所持者に限る)
障害者であることの確認は、障害者の種類ごとに定められた方法、たとえば、身体障害者手帳の交付の有無、または知的障害者判定機関の判定書などを用いて行います。
この際には、プライバシーの保護にも一定の配慮が必要になっています。
社会保険労務士 柳田 恵一