カテゴリー: 人事管理

令和元年の年次有給休暇取得促進期間

令和元年の年次有給休暇取得促進期間

<厚生労働省の広報>

毎年10月は、年次有給休暇取得促進期間ですが、今年は9月18日に、厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課から次のような広報が出されています。

 

~ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて年次有給休暇の取得を促進~

 厚生労働省では、年次有給休暇(以下「年休」)を取得しやすい環境整備を推進するため、次年度の年休の計画的付与※について労使で話し合いを始める前の10月を「年次有給休暇取得促進期間」として、集中的な広報活動を行っていきます。

年休については、ワーク・ライフ・バランス推進官民トップ会議で策定された「仕事と生活の調和推進のための行動指針」において、2020年(令和2年)までに、その取得率を70%とすることが目標として掲げられています。しかし、2017年(平成29年)に51.1%と18年ぶりに5割を超えたものの、依然として政府が目標とする70%とは大きな乖離があります。

このような中、労働基準法が改正され、今年4月から、使用者は、法定の年休付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日間、年休を確実に取得させることが必要となりました。年休の計画的付与制度を導入することは、年休の取得を推進するとともに、労働基準法を遵守する観点からも重要になります。

厚生労働省では、この制度改正を契機に、計画的付与制度の一層の導入が図られるよう、全国の労使団体に対する周知依頼、ポスターの掲示、インターネット広告の実施などを行い、周知広報に努めていきます。

 

※「年次有給休暇の計画的付与制度」・・・年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に年次有給休暇の取得日を割り振れる制度。(労働基準法第39条第6項)

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労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の解決

労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の解決

<ジタハラとは>

仕事と生活のバランスが取れるようにし、生産性を向上させるため、働き方改革の一環として、労働時間の削減が推進されています。

ところが、会社によって労働時間が短縮されるのは、労働者にとって苦痛であり、嫌がらせであると感じている人たちがいます。

これが、労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)です。

ジタハラを解消するためには、次の反省と軌道修正が必要です。

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労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の問題

労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の問題

<ジタハラとは>

仕事と生活のバランスが取れるようにし、生産性を向上させるため、働き方改革の一環として、労働時間の削減が推進されています。

ところが、会社によって労働時間が短縮されるのは、労働者にとって苦痛であり、嫌がらせであると感じている人たちがいます。

これが、労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)です。

 

<ジタハラの具体的な被害>

ジタハラを主張する人たちは、次のようなものを具体的な被害として挙げています。

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パワハラの成否と犯罪の成否

パワハラの成否と犯罪の成否

<パワハラと犯罪>

刑法その他の刑罰法規にパワハラ罪の規定はありません。

しかし、パワハラが犯罪になることはあります。

ある人の行為が、パワハラになるか/ならないかと、犯罪になるか/ならないかとは、別次元の問題です。

以下、具体例を見てみましょう。

 

<パワハラであり犯罪である行為>

就業の場で、身体的な攻撃を伴うパワハラが行われれば、同時に暴行罪(刑法第208条)や傷害罪(刑法第204条)などが成立します。

これらは、事実が警察に発覚すれば、社内で行われたことであっても、会社の方針とは関係なく捜査の対象となります。

また就業の場で、精神的な攻撃を伴うパワハラが行われれば、同時に脅迫罪(刑法第222条)、名誉毀損罪(刑法第230条)、侮辱罪(刑法第231条)などが成立します。

これらのうち、名誉毀損罪と侮辱罪は、警察沙汰になると被害者の心の痛みが大きくなりうることを踏まえて、親告罪とされています。〔刑法第232条第1項〕

つまり、被害者の告訴がなければ公訴が提起できませんから、警察も動けません。

こうしたパワハラの被害者から、会社に対して被害の申告があった場合に、被害者の納得できる対応を取らないと、被害者が警察に駆け込み、会社の対応が格段に大変になるリスクをはらんでいます。

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大雨による休業と休業手当の要否

大雨による休業と休業手当の要否

<休業手当の支払が不要な場合>

大雨・水害等により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受けて労働者を休業させる場合、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たるでしょうか。

「使用者の責に帰すべき事由による休業」の場合には、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。

ただし、天災事変等の不可抗力の場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たらず、使用者に休業手当の支払義務はありません。

ここで「不可抗力」とは、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること、この2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

大雨・水害等により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、その結果、労働者を休業させる場合は、休業の原因が事業主の関与の範囲外のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故に該当すると考えられますので、原則として使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しないことになります。

ただ例外的に、ことさら不十分な施設・設備であった場合などには、「使用者の責に帰すべき事由による休業」と判断すべき場合もあり得ます。

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労災保険給付と会社の損害賠償責任

労災保険給付と会社の損害賠償責任

<労災保険給付と損害賠償との関係>

労働災害のうち業務に起因する業務災害では、被災労働者(または遺族)は、労災保険給付を請求できると同時に、使用者に対しても損害賠償請求を行うことができます。

しかし、労災保険給付と損害賠償がカバーする損害の範囲は大きく重なりますから、労災保険給付を受けながら、これが無かったものとして、損害賠償を得られるというのでは、被災労働者(または遺族)の損害が二重に回復されることになり不公平です。

また使用者は、労災保険料を負担しているにもかかわらず、労災保険給付によって責任が軽減されないのでは、労災保険への加入を義務付けられていることとの関連で、納得がいくものではありません。

こうしたことから、労災保険給付と損害賠償との間では一定の調整が行われます。

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高年齢求職者給付金も循環的離職者にご注意

高年齢求職者給付金も循環的離職者にご注意

<雇用保険の求職者給付>

雇用保険では、労働者が失業した場合に必要な給付が行われます。

その代表は、「失業手当」と呼ばれることが多い求職者給付です。

一般にはあまり知られていませんが、この求職者給付は、仕事を辞めた時(離職時)の年齢により2種類に区分されています。

 

<65歳未満の基本手当>

離職時の年齢が65歳未満の一般の加入者(一般被保険者)は、離職時に一定の条件を満たしていれば、ハローワークで手続きすることによって、求職者給付を受けることができます。これを基本手当といいます。

一定の条件というのは、離職日前2年間に雇用保険加入期間が12か月以上であることです(離職理由によっては1年間に6か月以上の例外あり)。

この場合、離職の理由、離職時の年齢、雇用保険の加入期間(算定基礎期間)によって、所定の給付日数(90日~360日)が決まり、1日につき何円という計算で、定期的に給付を受けます(原則として4週間ごと)。

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取引先からの個人的な謝礼と懲戒処分

取引先からの個人的な謝礼と懲戒処分

<就業規則の規定>

多くの企業では、取引先から個人的な謝礼を受け取ることを禁止し、これに違反した場合には懲戒処分の対象となりうることを、就業規則に定めています。

本来は会社に帰属するはずの利益を、特定の個人が受領するというのは、不正行為となる場合も少なくないので、これを防止しようというわけです。

モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

 

【懲戒の事由】

第66条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

⑪ 職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、若しくは求め若しくは供応を受けたとき。

 

実際に、ある社員が取引先から個人的な謝礼を受け取ってしまった場合に、「不当な金品」といえるのか判断に迷うことでしょう。

懲戒処分に踏み切ることが困難かもしれません。

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傷病手当金の支給制限が行われる場合

傷病手当金の支給制限が行われる場合

<制限の理由>

傷病手当金は、健康保険により支給されます。

健康保険では、故意の犯罪行為など、制度の趣旨に反する恐れがあるときは、社会保険の公共性の見地から、給付の全部または一部について制限が行われます。

また、給付を行うことが事実上困難な場合や、他の制度から同様の給付が行われた場合の調整により、給付が制限される場合もあります。

 

<健康保険に共通の理由>

次のような場合には、健康保険に共通の制限または調整が行われます。

 

・故意の犯罪行為または故意に事故を起こしたとき

・喧嘩や酩酊など著しい不行跡により事故を起こしたとき

・正当な理由がなく医師の指導に従わないか保険者の指示による診断を拒んだとき

・詐欺その他不正な行為で保険給付を受けたとき、または受けようとしたとき

・正当な理由がないのに保険者の文書の提出命令や質問に応じないとき

・感染症予防法等他の法律によって、国または地方公共団体が負担する療養の給付等があったとき

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育児休業中の就労請求権

育児休業中の就労請求権

<就労請求権>

就労請求権とは、労働者が使用者に対し、実際に就労させることを請求する権利をいいます。

かつては、就労請求権を肯定する裁判例が見られました。

木南車輌製造事件(大阪地決昭23年12月14日)では、使用者は「労働契約関係が正当な状態においてある限り、労働者が適法に労務の提供したとき、これを受領する権利のみでなく、受領する義務あるものであり、正当な理由なくして恣意に受領を拒絶し、反対給付である賃金支払をなすことによって責を免れるものではない」とされました。

高北農機事件(津地裁上野支部決定昭和47年11月10日)では、「労働契約は継続的契約関係ゆえ当事者は信義則に従い給付実現に協力すべきこと、労働者は労働によって賃金を得るのみならず、それにより自信を高め人格的な成長を達成でき、不就労が長く続けば技能低下、職歴上および昇給・昇格等の待遇上の不利益、職業上の資格喪失のような結果を受けるなど」の理由から就労請求権が肯定されています。

しかし、この判例の理論は、就労請求権が一般に認められる根拠にはならず、特殊な技能を持つなど一定の条件を満たした場合のみに妥当します。

その後、労働は労働契約上の義務であって権利ではないので、就労請求権は認められないと判断されるようになっています(日本自動車振興会事件 東京地判平9年2月4日など)。

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