投稿者: workcloudjp

喫煙所の廃止による離席時間の増加

喫煙所の廃止による離席時間の増加

<労働安全衛生法の努力義務>

受動喫煙の防止について、労働安全衛生法には次の規定が置かれています。

 

【受動喫煙の防止】

第六十八条の二 事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

これは、事業者に対して、労働者の受動喫煙を防止するための措置を講ずるよう求めるものです。

しかし、文末が「努めるものとする」となっていることから分かるように、努力義務であって、これに違反しても罰則はありません。

 

<健康増進法の規制>

令和2年4月1日から、第二種施設(多数の者が利用する施設)では、屋内での喫煙が原則として禁止となりました。〔健康増進法第30条第1項〕

都道府県知事は、第二種施設の管理権原者等に対し、受動喫煙を防止するために必要な指導及び助言をすることができるとされています。〔同法第31条〕

また、第二種施設の管理権原者等が屋内での禁煙(同法第30条第1項)に違反して器具や設備を喫煙に使える状態で設置しているときは、都道府県知事が期限を定めて、器具や設備の撤去などを勧告することができます。

さらに、管理権原者等がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができますし、勧告に従った措置をとるよう命ずることもできます。

この命令に違反すれば、50万円以下の過料も規定されています。〔同法第76条第1項〕

会社の喫煙所が廃止された場合、それは会社の方針というよりも、これらの健康増進法の規制から止むを得ないことだと考えられます。

ただ、喫煙者の皆さんには、十分な説明が必要となります。

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社会保険の定時決定(算定基礎届)と一時帰休

社会保険の定時決定(算定基礎届)と一時帰休

<変則的な定時決定>

新型コロナウイルス感染症の影響などによって、従業員を一時的に休業(一時帰休)させていた場合の定時決定(算定基礎届)は、7月1日時点で一時帰休の状態が解消されているか、未だ解消されていないかによって、その扱いが異なっています。

なお、一時帰休による休業手当は、報酬に含めて計算します。

また、休業手当の対象となった日数は、支払基礎日数に含めてカウントします。

 

7月1日時点で一時帰休の状態が解消されている場合

一時帰休の状態が解消されているかどうかは、休業手当の支払が継続しているかどうかで決まります。

7月1日以降の分として、休業手当が支給されておらず、今後も支給される予定が無いのであれば、一時帰休の状態が解消されていると判断されます。

この場合には、休業手当を受けた月を除いて計算し、標準報酬月額を決定します。

たとえば、4月と5月の分として休業手当が支払われ、6月の分は休業手当が支払われなかった場合には、6月だけが通常の報酬となりますので、6月の1か月分だけで計算し、標準報酬月額を決定します。

ただし、4月、5月、6月のどの月も休業手当が支払われた場合には、これらの期間の報酬を計算対象とはせず、直近に改定された標準報酬月額をそのまま用います。

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新型コロナウイルスによる収益悪化と整理解雇

新型コロナウイルスによる収益悪化と整理解雇

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の解雇制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

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技能実習生等に対する雇用維持支援

技能実習生等に対する雇用維持支援

<出入国在留管理庁の対応>

出入国在留管理庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により解雇等され、実習が継続困難となった技能実習生、特定技能外国人等の日本での雇用を維持するため、関係省庁と連携し、特定産業分野(特定技能制度の14分野)での再就職の支援を行うとともに、一定の要件の下、在留資格「特定活動」を付与し、外国人に対する日本での雇用を維持するための支援を行っています。

 

<対象者>

新型コロナウイルス感染症の影響により、受入れ機関または受入れ予定機関の経営状況の悪化(倒産、人員整理、雇止め、採用内定の取消し等)等により、自己に責任のない理由で、その機関での活動ができなくなり、現在の在留資格で日本に引き続き在留することが困難となった外国人が対象です。

具体的には、現在の在留資格で活動できない次のような外国人が対象となります。

(1)技能実習生、特定技能外国人

(2)就労資格(「技術・人文知識・国際業務」、「技能」等)で就労していた外国人

(3)教育機関における所定の課程を修了した留学生

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年金制度改正が企業実務に与える影響

年金制度改正が企業実務に与える影響

<年金制度改正法の成立>

令和2年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。

この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものです。

企業実務にも大きな影響を与える内容となっています。

 

<被用者保険(厚生年金、健康保険)の適用範囲の拡大>

多様な就労を年金制度に反映するため、被用者保険の適用が拡大されます。

具体的には、短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件(現行、従業員数500人超)が段階的に引き下げられ、令和4年10月に100人超規模、令和6年10月に50人超規模となります。

賃金要件(月額8.8万円以上)、労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとし、勤務期間要件(現行、1年以上)については実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、フルタイムの被保険者と同様の2か月超の要件を適用することとなります。

加えて、5人以上の個人事業所の適用業種に、弁護士、税理士、社会保険労務士の士業が追加されます。

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年金制度改正の目的と概要

年金制度改正の目的と概要

<年金制度改正法の成立>

令和2年5月29日、「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立しました。

この法律は、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれる中で、今後の社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るためのものです。

企業実務にも大きな影響を与える内容となっています。

 

<改正の趣旨と目的>

より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため、今回の改正では、①被用者保険の適用拡大、②在職中の年金受給の在り方の見直し(在職老齢年金制度の見直し、在職定時改定の導入)、③受給開始時期の選択肢の拡大、④確定拠出年金の加入可能要件の見直し等が行われます。

今後の社会・経済の変化を展望すると、人手不足が進行するとともに、健康寿命が延伸し、中長期的には現役世代の人口の急速な減少が見込まれる中で、特に高齢者や女性の就業が進み、より多くの人がこれまでよりも長い期間にわたり多様な形で働くようになることが見込まれます。こうした社会・経済の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るのが目的です。

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正社員の労働条件通知書

正社員の労働条件通知書

<労働条件通知書の交付義務>

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。

この書面が、労働条件通知書です。

 

【労働基準法第15条第1項:労働条件の明示】

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

これが労働基準法の定めです。

そして、1件につき30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法第120条第1号〕

最近の傾向として、非正規労働者に対しては、きちんとした労働条件通知書を交付しているものの、正社員に交付する労働条件通知書に必要な項目が漏れているケースが散見されます。

是非、再確認していただくことをお勧めします。

 

<労働条件通知書の保管義務>

労働条件通知書は3年間の保管義務があります。

「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」〔労働基準法第109条〕

そして、こちらにも1件につき30万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法第120条第1号〕

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プライベートメールとビジネスメール

プライベートメールとビジネスメール

<ビジネスメールのマナー>

ビジネスマナーの本には、ビジネスメールのマナーについても書かれています。

また、ビジネスで活用できるメールの雛形も紹介されています。

しかし、プライベートメールとの違いについては、なぜ、何が、どのように違うか説明が省略されていることもあります。

これは新人だけでなく、すべての社会人に必要な基本ですから、ここで再確認してみましょう。

 

<プライベートメール>

メールやSNSを利用してプライベートで情報を発信する場合、「何のために」情報を発信するかという、目的意識が希薄な場合が多いものです。

何となく、自慢したい、同情されたい、驚かせたい、広めたいという意図は感じられます。

しかし基本的には、送りたいから送っているというのが実態です。

情報の送り手は、自分が送りたい内容を、自分好みの表現方法で送ります。

文字だけのこともあり、写真や動画だけのこともあり、両方を組み合わせることもあります。

「これを伝えたい」という明確な意識もなく、ただ何となく発信しているだけのものも見られます。

送り手のこうした態度に対応して、受け手も読みたい物だけを読みますし、途中まで読んで中断してしまうことも少なくありません。

読みたい物の、読みたい部分だけを、つまみ食いしている状態です。

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心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正

心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正

<令和2年5月29日付基発0529第1号通達>

厚生労働省は、「心理的負荷による精神障害の認定基準」を改正し、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛てに通知しました。

この改正は、令和2年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえて取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しを行いました。

厚生労働省では、今後、この基準に基づいて審査の迅速化を図り、業務により精神障害を発病した人に対して、一層迅速・適正な労災補償を行っていきます。

 

<改正の背景と目的>

厚生労働省(労働局、労働基準監督署)では、業務による心理的負荷を原因とする精神障害について、平成23(2011)年12月に策定した「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定を行っています。

この度、令和2年6月から施行されるパワーハラスメント防止対策の法制化に伴い、職場における「パワーハラスメント」の定義が法律上規定されたことなどを踏まえ、令和2年5月に取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を受けて、認定基準別表1「業務による心理的負荷評価表」の改正を行ったものです。

評価表をより明確化、具体化することで、請求の容易化・審査の迅速化を図るのが目的です。

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職務評価を用いた基本給の点検・検討での留意点

職務評価を用いた基本給の点検・検討での留意点

<パート有期労働法の施行>

働き方改革関連法の一つであるパートタイム・有期雇用労働法の施行により、2020年4月から正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との不合理な待遇差が禁止されることとなりました。(ただし、中小企業は2021年4月からの適用です)

同じ企業で働く正社員とパートタイム労働者・有期雇用労働者との間に待遇の違いがある場合、あらゆる待遇について、個々の項目ごとに不合理な待遇差の解消が求められます。

待遇差があってはならないのではなく、待遇差の存在とその程度について、客観的に合理的な理由が存在しなければならないということです。

とはいえ、基本給については、それぞれの企業で様々な要素を踏まえて支払われており、各企業間で大きな金額の差があって、その合理性については判断がむずかしいものです。

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