月: 2019年12月

病気で就業規則を守れない人の解雇

病気で就業規則を守れない人の解雇

<就業規則違反>

厚生労働省が公表するモデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

※分量が多いので一部の抜粋です。

 

【解雇】

第51条  労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

⑥第66条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。

 

【懲戒の事由】

第66条  2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。

②正当な理由なく無断欠勤が  日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。

③正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、  回にわたって注意を受けても改めなかったとき。

⑦素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。

⑧数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善の見込みがないとき。

⑭その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

 

このように、就業規則違反の程度が重ければ、懲戒解雇もありうることが規定されています。

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副業先の労働時間の把握義務

副業先の労働時間の把握義務

<副業がある場合の労働時間>

複数の事業場で労働した場合の労働時間については、労働基準法第38条第1項に次の規定があります。

 

【時間計算】

第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

 

つまり、複数の事業場で労働した場合の労働時間は、通算するということです。

そして、同じ会社の異なる事業場だけでなく、異なる会社で労働する場合にも、異なる事業場で働くことになるので、この規定が適用されるという通達があります。〔昭和23年5月14日基発769号〕

こうして、副業している労働者については、自社と他社とで労働時間を通算(合算)し、総労働時間を管理しなければなりません。

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残業代の不正受給

残業代の不正受給

<労働時間の把握義務>

使用者は、労働安全衛生法第66条の8の3に基づき、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に則って、従業員の労働時間を適正に把握する義務を負っています。

そして、大半の企業では、タイムカードやICカードを用いた客観的な記録を基本に、自己申告による修正を加える形で、労働時間を把握しています。

このように、使用者が労働時間を把握する義務を負っていることと、労働者がこれに協力する義務を負っていることについて、企業は繰り返し教育を行う必要があります。

また、会社が把握している労働時間が、実態とかけ離れたものとなっていないか、定期的なチェックも怠ることができません。

 

<過少申告の問題>

従業員が労働時間を過少に申告する場合があります。

上司が、実情を踏まえることなく、残業時間を制限している場合には、サービス残業を余儀なくされることがあります。

ミスが多く、やり直しが多いことに引け目を感じて、自主的にサービス残業を行う従業員もいます。

喫煙やトイレの時間が長いと自覚している従業員、若い頃に比べて生産性が低下していると自覚している従業員などにも、過少申告が見られることがあります。

これらの場合、従業員が不正を行ったことによって、会社に損失がもたらされるわけではありません。

ですから、ほとんどの場合、不正を行った従業員への指導と教育が正しい対応であって、懲戒処分を行うことは見当違いとなります。

ただし、上司が部下に圧力をかけて、過少申告を促していたようなケースでは、この上司を懲戒処分の対象とする必要が出てきます。

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同一労働同一賃金対応の取組手順

同一労働同一賃金対応の取組手順

<同一労働同一賃金の法制化>

パートタイム・有期雇用労働法により、令和2(2020)年4月1日から、同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、賞与、手当、休暇などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。

事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて、説明を求められた場合には、説明しなければなりません。

ただし中小企業には、令和3(2021)年4月1日から法律が適用されます。

 

<取組手順>

厚生労働省では、次の手順で取り組むことを推奨しています。

 

手順1 労働者の雇用形態を確認する。
手順2 待遇の状況を確認する。
手順3 待遇に違いがある場合、違いを設けている理由を確認する。
手順4 手順2と手順3で待遇に違いがあった場合、その違いが「不合理ではない」ことを説明できるように整理しておく。
手順5 「法違反」が疑われる状況からの早期の脱却を目指す。
手順6 改善計画を立てて取り組む。

 

特に、手順4までは、早めの取り組みが求められます。

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健康経営への道

健康経営への道

<健康経営>

健康経営とは、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、 健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」とされています。

業績向上や企業価値向上のためには、企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組み、従業員の活力向上や生産性の向上等、組織の活性化をもたらすように努める必要があります。

 

<健康投資>

健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組を言います。

Newsweek誌には、健康経営の投資額1ドルに対して、3ドルの投資リターンがあるという記事が掲載されたこともあります。

ここでの健康経営の投資額は、健康管理スタッフや事務部門の人件費、保健指導などの利用費やシステム開発・運用費、設備費から計算されています。

一方で、投資リターンの額は、欠勤率の低下やモチベーションの向上などによる生産性の向上、医療関連コストの減少、採用コストの減少、企業イメージのアップによる企業価値の向上から計算されています。

 

<健康経営優良法人認定制度>

経済産業省は、健康経営優良法人認定制度を設けていて、毎年2月に健康経営優良法人を発表しています。

大規模法人部門の認定には、たとえば、次の16項目のうち、12以上の項目で基準をクリアする必要があります。

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フレックスタイム制ではない時差出勤

フレックスタイム制ではない時差出勤

<フレックスタイム制の場合>

職場にフレックスタイム制を導入していれば、労働者側が主体的な判断により、始業時刻や終業時刻を柔軟に設定することができます。

しかし、フレックスタイム制は、労働基準法の規定によって認められています。

この規定に定められた手続きを省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

 

<始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ>

フレックスタイム制を導入していない職場でも、実働時間を変更せずに、始業時刻と終業時刻を同じ時間だけ繰上げ・繰下げすることができます。

この点については、労働基準法に特別な規制は無く、1日8時間、1週40時間の範囲内であれば、労働時間の規制にかかりませんし、基本的には割増賃金の支払も不要です。

もっとも、午後10時から翌日午前5時までの勤務が増えるような場合には、その分だけ深夜割増手当が増えるなどの注意は必要です。

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従業員の喫煙制限

従業員の喫煙制限

<企業の受動喫煙防止義務>

健康増進法は、望まない受動喫煙の防止を図るため、喫煙専用室など施設内の一定の場所を除き、喫煙が禁止されることとしています。

令和2(2020)年4月からは、事務所や飲食店等の場合、たばこの煙の流出を防止するための技術的基準を満たした喫煙専用室、加熱式たばこ専用喫煙室等以外の屋内の場所では、喫煙が禁止となります。

これに先駆けて、令和元(2019)年7月からは、学校、病院、児童福祉施設等の第一種施設では、受動喫煙を防止するために必要な措置を講じた特定屋外喫煙場所を除き、敷地内禁煙となっています。

これ以降、施設の管理権原者等は、喫煙をすることができる場所に20歳未満の者を立ち入らせてはならないことになります。

労働者の受動喫煙を防止するため、実情に応じた措置を講ずる努力義務が事業者に対して課せられています。

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平均賃金の使われ方

平均賃金の使われ方

<平均賃金>

平均賃金というのは、賃金の相場などという意味ではなく、労働基準法などで定められている手当や補償、減俸処分の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。

原則として事由の発生した日の前日までの3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。〔労働基準法第12条〕

賃金の締日がある場合には、事由の発生した日の直前の締日までの3か月について、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金などの控除をする前の額(賃金総額)の合計額を算出します。これを3か月の暦上の日数で割って、銭(1円の100分の1)未満を切り捨てます。

例外として、賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合には、総額を労働日数で割った金額の6割に当たる額が高い場合にはその額を適用します(最低保障額)。

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住民票・マイナンバーカード等への旧姓(旧氏)併記

住民票・マイナンバーカード等への旧姓(旧氏)併記

<女性活躍推進>

女性活躍推進の観点から、住民基本台帳法施行令(昭和42年政令第292号)等が改正され、令和元(2019)年11月5日より住民票、マイナンバーカード等への旧姓(旧氏)の記載が可能になっています。

これも、働き方改革推進の一環といえます。

 

<旧姓(旧氏)併記の方法>

旧姓(旧氏)は、その人が過去に称していた氏であって、その人の戸籍や除かれた戸籍に記載・記録されているものをいいます。

住民票、個人番号カード等に記載できる旧氏は、旧氏を初めて記載する際には、過去に称していたことのある任意の旧氏です。

一度記載した旧氏は、結婚(婚姻)等により氏が変更されてもそのまま記載が可能です。

また、他の市区町村に転入しても、引き続き記載が可能です。

しかし、記載されている氏が変更した場合には、それが直前に称していた旧氏である場合に限り、変更が可能です。

旧氏の削除も可能ですが、その後氏が変更した場合に限り、削除後に称していた旧氏のみが再記載可能です。

旧氏(1人1つ)の記載を希望する人は、住民登録のある市区町村に請求します。

請求にあたっては、記載を求める旧氏が、その人の旧氏であることを証明するため、旧氏の記載されている戸籍謄本等から現在の氏が記載されている戸籍に至るすべての戸籍謄本等とマイナンバーカード(通知カード)を持参しなければなりません。

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懲戒理由(事由)証明書の交付請求権

懲戒理由(事由)証明書の交付請求権

<解雇理由証明書>

会社が従業員に解雇を通告した場合には、それが懲戒解雇ではなく、普通解雇や整理解雇であったとしても、その従業員からの請求があれば、これに応じて解雇理由(事由)証明書を交付する義務があります。

このことは、労働基準法に次のように規定されています。

 

【退職時等の証明】

第二十二条 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。

○2 労働者が、第二十条第一項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。

○3 前二項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。

○4 使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項及び第二項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。

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