年金手帳廃止の動き

年金手帳廃止の動き

令和元(2019)年10月30日、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で、年金手帳の廃止が採り上げられました。

 

<年金手帳の必要性の低下>

年金手帳は、保険料納付の領収の証明、基礎年金番号の本人通知という機能を果たしてきました。

しかし現在では、保険料の納付に年金手帳は使いません。

また、加入者(被保険者)情報がシステムで管理されていますし、マイナンバー(個人番号)の導入によって、手帳という形式をとる必要がなくなってきています。

かつては多くの手続で、年金手帳の添付が求められていましたが、現在では、行政手続の簡素化や利便性向上のため、「基礎年金番号を明らかにする書類」で手続を可能としています。

さらに、給与関連の事務でマイナンバー(個人番号)を確認している事業者では、基礎年金番号に代えて、マイナンバーの記載をして届出をした場合は、基礎年金番号を明らかにする書類の提出は不要とされています。

<法改正の方向性>

20歳になった人、20歳前に厚生年金加入者(被保険者)となった人など、新たに国民年金の加入者(被保険者)となった人に対しては、年金手帳を交付せず「資格取得のお知らせ」を通知することにする法改正が検討されています。

これによって、手帳の作成や交付コストの節減も図れますし、企業側の業務の簡素化や効率化を推進することができます。

なお、平成28(2016)年度実績では、年金手帳の発行が153万件、再発行が74.5万件で、その費用は2.7億円に及んでいます。

 

<基礎年金番号通知書>

新たな「基礎年金番号通知書(仮称)」については、すでにその仕様まで次のように検討されています。

  1. 年金手帳の代替として年金制度の象徴となるようなシンボリックなもの(色つきの上質紙など)とすること
  2. 手元に丁重に保管してもらうため、名称を「基礎年金番号通知書(仮称)」とし、大臣印の印影を入れること
  3. 現在、共済年金加入者に送付している「基礎年金番号通知書」との統一を行うこと

 

<会社の対応の変更点>

現在は、新人の入社にあたって、年金手帳を提出してもらい基礎年金番号を確認していますが、法改正後は「基礎年金番号通知書(仮称)」しか保有しない人も出てきます。

ですから、いずれか片方の提出を求めることになります。

また、どちらも保有していない人について、マイナンバー(個人番号)の確認により手続きを進めても問題ありません。

さらに現在は、年金手帳を紛失した社員からの申し出に応じて、会社が年金手帳の再交付手続きをしていますが、法改正後は、年金手帳の交付も再交付も行われなくなりますから、この手続きはなくなります。

基礎年金番号が分からなくなった社員には、個人的に年金事務所や街角の年金相談センターで確認してもらうことになります。

 

社会保険労務士 柳田 恵一