月: 2019年11月

年金手帳廃止の動き

年金手帳廃止の動き

令和元(2019)年10月30日、厚生労働省の社会保障審議会年金部会で、年金手帳の廃止が採り上げられました。

 

<年金手帳の必要性の低下>

年金手帳は、保険料納付の領収の証明、基礎年金番号の本人通知という機能を果たしてきました。

しかし現在では、保険料の納付に年金手帳は使いません。

また、加入者(被保険者)情報がシステムで管理されていますし、マイナンバー(個人番号)の導入によって、手帳という形式をとる必要がなくなってきています。

かつては多くの手続で、年金手帳の添付が求められていましたが、現在では、行政手続の簡素化や利便性向上のため、「基礎年金番号を明らかにする書類」で手続を可能としています。

さらに、給与関連の事務でマイナンバー(個人番号)を確認している事業者では、基礎年金番号に代えて、マイナンバーの記載をして届出をした場合は、基礎年金番号を明らかにする書類の提出は不要とされています。

“年金手帳廃止の動き” の続きを読む

電子申請が利用しやすくなります

電子申請が利用しやすくなります

<電子証明書からID・パスワードへ>

現在、電子申請するためには電子証明書が必要です。

しかし、令和2(2020)年4月以降、無料で取得可能なID・パスワード(GビズID)で電子申請が可能になります。

このID・パスワードは、4月まで待たなくても今すぐ取得可能です。

 

<GビズID>

GビズIDは、経済産業省により整備された事業者向けのサービスです。

1つのID・パスワードで、複数の行政サービスにアクセスできます。

このサービスによって、社会保険・労働保険の手続が電子申請で行うことができるようになります。

“電子申請が利用しやすくなります” の続きを読む

故意・過失の客観的な認定

故意・過失の客観的な認定

<故意・過失の意味>

犯罪には故意犯と過失犯があり、たとえば、故意による傷害罪は過失傷害罪よりも犯情が重く、それだけ重い刑罰が科されます。

就業規則の懲戒規定の中にも、故意・過失という言葉が見られます。

ここで「故意」というのは、「わざと行うこと」であり、法律上は「法的に守られた利益を侵害すると認識しながらそれを容認して行為すること」をいいます。

また「過失」というのは、「うっかり行うこと」であり、法律上は「違法な結果を認識・予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識・予見しなかった心理状態、あるいは結果の回避が可能だったにもかかわらず、回避するための行為を怠ったこと」をいいます。

過失によって悪い結果が発生するのを防ぐには、まず、悪い結果が発生するかもしれないことを具体的に予期しなければなりません。この注意義務を結果予見義務といいます。

しかし、結果を予期したとしても、その予期した結果の発生を防がなければ、悪い結果が発生してしまいます。こうして、結果の発生を回避する義務を結果回避義務といいます。

結局、「過失」というのは、法律上、結果予見義務か結果回避義務を怠ったことをいいます。

 

<行為者の言い分による認定>

こうして見ると、「故意」も「過失」も行為者の心理状態ということになります。

ところが、行為者の心の中を直接のぞいて確認することはできません。

かといって、犯人が「うっかり火が着いて燃え広がりました」と言えば失火罪として軽く処罰され、「燃やすつもりで火を着けました」と言えば放火罪として重く処罰されるというのは不当です。

社内で懲戒を検討する場合にも、行為者本人の言い分だけを根拠に処分を決めてしまっては、不当な結果が発生しやすいことは明らかです。

“故意・過失の客観的な認定” の続きを読む

年次有給休暇付与日数の誤りやすいポイント

年次有給休暇付与日数の誤りやすいポイント

<モデル就業規則>

年次有給休暇について、モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

 

【年次有給休暇】

第22条 採用日から6か月間継続勤務し、所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、10日の年次有給休暇を与える。その後1年間継続勤務するごとに、当該1年間において所定労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、下の表のとおり勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

 

勤続

期間

6か月 1年

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6年

6か月

以上

付与

日数

10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

 

2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間30時間未満であり、かつ、週所定労働日数が4日以下(週以外の期間によって所定労働日数を定める労働者については年間所定労働日数が216日以下)の労働者に対しては、下の表のとおり所定労働日数及び勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を与える。

 

週所定

労働日数

1年間の

所定労働日数

勤    続    期    間
6か月 1年

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6年

6か月

以上

4日 169日~216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日~168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日~120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日~72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

 

(以下省略)

 

週所定労働日数が5日以上の従業員のみの職場では、上段の簡単な表だけが適用されます。

そして、週所定労働日数が4日以下の従業員がいる職場では、下段の複雑な表が必要になってきます。

“年次有給休暇付与日数の誤りやすいポイント” の続きを読む

改正法に基づくパワハラ指針案

改正法に基づくパワハラ指針案

<法改正>

令和元(2019)年5月29日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が通常国会で可決・成立し、令和元(2019)年6月5日に公布されました。

施行日は、公布後1年以内の政令で定める日となっています。

職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。そして、適切な措置を講じていない場合には、所轄労働基準監督署などによる是正指導の対象となります。

ただし中小企業は、公布後3年以内の政令で定める日までの間は、努力義務となります。

 

<職場におけるパワーハラスメント>

職場におけるパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべて満たすものです。

“改正法に基づくパワハラ指針案” の続きを読む

通勤手当の不正受給

通勤手当の不正受給

<通勤手当の性質>

労働基準法などに、使用者の通勤手当支払義務は規定されていません。

むしろ法律上、通勤費は労働者が労務を提供するために必要な費用として、労働者が負担することになっています。〔民法第485条〕

とはいえ、就業規則や雇用契約などで通勤手当の支給基準が定められている場合には、賃金に該当するとされています。〔昭和22年9月13日発基第17号通達〕

 

<就業規則の在り方>

たとえば、モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

 

【通勤手当】

第34条  通勤手当は、月額    円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

“通勤手当の不正受給” の続きを読む

配偶者手当を見直す理由と留意点

配偶者手当を見直す理由と留意点

<モデル就業規則の改訂>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版は、平成31(2019)年3月版です。

しかし、これ以前、平成28(2016)年3月版から平成30(2018)年1月版に改定されたとき、家族手当の規定から配偶者手当が削除されています。〔第33条〕

モデル就業規則は、労働基準法など労働法の改正があったときには、法改正に対応して適法な内容となるように改訂されています。

ですから、モデル就業規則が改訂されたときには、各企業の就業規則も変更しなければ、違法な内容を含んだままになる可能性が高いことになります。

また、政府の方針に変更があった場合や、政府が新しい方針を打ち出した場合にも、これに沿った改訂が行われます。

家族手当の規定から配偶者手当が削除されたのは、政府が少子高齢化対策の継続的な推進をより強化していることに対応しています。

“配偶者手当を見直す理由と留意点” の続きを読む

従業員が反社会的勢力と関わることの予防対策

従業員が反社会的勢力と関わることの予防対策

<反社会的勢力との関わり>

平成19(2007)年6月19日、犯罪対策閣僚会議の下に設置された暴力団資金源等総合対策ワーキングチームでの検討を経て、企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応について、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が取りまとめられました。

この指針にも支えられて、反社会的勢力の活動は下火となりつつあります。

また、お笑い芸人の反社会的勢力との関わりが発覚した事件を見ても、企業の所属メンバーが反社会的勢力と関わることによって、企業の信用低下を招くのは明らかです。

こうしたことから、各企業は、従業員が反社会的勢力との関わりを持たないよう予防策を講じる必要があります。

 

<就業規則の規定>

就業規則には、反社会的勢力との関わりを禁止する規定と、この禁止に違反した場合の懲戒規定をセットで置く必要があります。

 

禁止規定は、次の例のようになります。

“従業員が反社会的勢力と関わることの予防対策” の続きを読む

同一労働同一賃金とは公正待遇のこと

同一労働同一賃金とは公正待遇のこと

<同一労働同一賃金の説明>

「同一労働同一賃金」という言葉を素直に読めば、「同じ仕事をしている人には同じ賃金を支払う」という意味に取れます。

ところが、同一労働同一賃金について、厚生労働省は次のように説明しています。

 

【同一労働同一賃金とは】(厚生労働省ホームページより)

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。

 

「同じ仕事をしている」というキーワードは現れず、雇用形態間の不合理な待遇差を問題視しています。

 

<法律の規定>

また、同一労働同一賃金に関わる労働契約法第20条は、次のように規定しています。

“同一労働同一賃金とは公正待遇のこと” の続きを読む

障害者手帳と障害年金の受給

障害者手帳と障害年金の受給

<障害者手帳>

障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者福祉保健手帳、療育手帳の3つがあります。

こうした手帳を持っていることで、様々な福祉サービスを受けることができます。

また、仕事探しのときには、障害者雇用枠への応募が可能です。

障害者雇用率が段階的に引き上げられていることにより、企業も障害者の雇用には積極的にならざるを得ません。

 

<障害年金受給の基本3要件>

障害者を採用するにあたっては、障害年金の受給を前提に給与水準を考えてしまうこともあります。

しかし、障害者手帳を持っているからといって、障害年金を受給する資格があるとは限らないのです。

障害年金を受けるには、基本的に初診日、保険料の納付、障害の状態についての3要件を満たしていることが必要です。

  “障害者手帳と障害年金の受給” の続きを読む