月: 2019年8月

解雇を伴うアウトソーシング導入

解雇を伴うアウトソーシング導入

<アウトソーシング>

アウトソーシングとは、中核事業に経営資源を集中投入することを目的として、中核事業以外の一部を外部に委託することをいいます。

たとえば、経理部門の業務を会計事務所に委託する、人事部門の業務を社会保険労務士事務所に委託するなどです。

メリットとしては、頻繁な法改正にも専門的に対応し適法運営が可能であることや、人材の採用・教育を含めた人件費等のコストを削減できることなどがあります。

 

<余剰人員の発生>

人材不足で緊急の必要に迫られてアウトソーシングに踏み切ったという場合には、人手が余るということはありません。

しかし、経営の合理化やコンプライアンス強化のために、政策的にアウトソーシングを導入した場合には、現に関連業務を行っている社員の仕事が奪われることになります。

これは、その社員に全く落ち度のないことですから、安易に解雇することはできません。

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企業の受動喫煙防止義務

企業の受動喫煙防止義務

<労働安全衛生法>

労働災害を防止するために事業者が講じなければならない措置については、労働安全衛生法に詳細に規定されています。

各事業場では、この法律などに従い、労働災害の防止と快適な職場環境の形成に積極的に取り組むことや、職場の安全衛生管理体制を確立しておくことが求められています。

 

<安全衛生管理体制>

労働安全衛生法では、業種や労働者数によって、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任が義務付けられています。〔第10条等〕

また、常時使用する労働者数が10人以上50人未満の事業場でも、業種により安全衛生推進者や衛生推進者の選任が義務付けられています〔第12条の2〕

会社は、これらの者に、事業場の安全衛生に関する事項を管理させなければなりません。

就業規則には、このことも規定しておくことが望ましいでしょう。

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失業手当(雇用保険の基本手当)の待期期間

失業手当(雇用保険の基本手当)の待期期間

<用語の混乱>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)について、「待期期間」と「給付制限」とが混同されやすいようです。

ともすると、会社の人事担当者が「給付制限」の期間のことを、うっかり「待期期間」と言ってしまうことがあります。

効果としては、「待期期間」も「給付制限」も、その期間の経過を待たなければ給付を受けられないという点で共通しています。

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労災認定を判断するのは会社なのか

労災認定を判断するのは会社なのか

<よくある誤解>

就業規則に「アルバイト社員には労災保険を適用しない」という規定のある会社もあるそうです。

また、会社に労災申請を希望したところ「あなたの業務は雇用というよりも請負に近いから、労災保険の適用対象ではない」と説明されたという話もあります。

こうした場合に、従業員は、「規則だから」「会社が認めてくれないから」と考えて諦めてしまうようです。

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残業禁止令を出しても大丈夫か

残業禁止令を出しても大丈夫か

<個人的な残業禁止令>

日中ダラダラと効率の悪い仕事をしていながら、夕方になると調子が上がって業務に集中する人もいます。

これによって長時間の残業が発生しているのなら、生活リズムの個性を認めて午後からの出勤にするという方法もあるでしょう。

中には、残業手当が欲しくて時間外に頑張っている人もいます。

しかし、いわゆる生活残業になってしまっていると、適正な人事考課基準が運用されている会社では、生産性の低い社員であると評価され、昇進・昇格・昇給が遅れますから、長い目で見れば、収入が少なくなってしまいます。

上司が面談して、こうしたことを説明すべきですし、どうしても今の収入を増やしたい事情があるのなら、仕事を多めに割り振ることも考えられます。

お付き合い残業というのもあります。

同期社員間や同じ部署の社員間で、仕事の早い人が遅い人を待つ形で、一緒に帰るのが習慣になることもあります。

この場合には、全員が定時で帰れるようにする方向で、仕事の配分や役割を見直すべきです。

このように、それぞれの事情に応じた対応を取るべきなのですが、残業の発生に合理的な理由が見出せない社員に対しては、残業の禁止を命じなければならないこともあります。

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代替休暇の制度

代替休暇の制度

<50%以上の割増賃金>

月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

これは、労働者が健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、平成22(2010)年4月1日に労働基準法が改正され、1か月に60時間を超える法定時間外労働について、法定割増賃金率が5割以上に引き上げられたものです。

なお、深夜(22:00~5:00)の時間帯に1か月60時間を超える法定時間外労働を行わせた場合の割増率は、 深夜割増賃金率25%以上 + 時間外割増賃金率50%以上 = 75%以上となります。

1か月60時間の法定時間外労働の算定には、法定休日(例えば日曜日)に行った労働は含まれませんが、それ以外の休日(例えば土曜日)に行った法定時間外労働は含まれます。

 

【法定休日】

使用者は1週間に1日または4週間に4回の休日を与えなければなりません。これを「法定休日」といいます。法定休日に労働させた場合は35%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。

 

なお、労働条件を明示する観点や割増賃金の計算を簡便にする観点から、法定休日とそれ以外の休日を明確に分けておくことが望ましいものです。

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精勤手当は廃止すべきか

精勤手当は廃止すべきか

<就業規則の規定>

精勤手当(皆勤手当)について、モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、次のように規定しています。

 

(精勤手当)

第37条  精勤手当は、当該賃金計算期間における出勤成績により、次のとおり支給する。

① 無欠勤の場合       月額      

② 欠勤1日以内の場合    月額      

2 前項の精勤手当の計算においては、次のいずれかに該当するときは出勤したものとみなす。

① 年次有給休暇を取得したとき

② 業務上の負傷又は疾病により療養のため休業したとき

3 第1項の精勤手当の計算に当たっては、遅刻又は早退  回をもって、欠勤1日とみなす。

 

第2項で、年次有給休暇を取得した場合や、業務上の負傷疾病による休業の場合には、欠勤扱いにしないという配慮がなされています。〔労働基準法第136条など〕

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「処罰しないで」という申し出がセクハラやパワハラの被害者からあったら

「処罰しないで」という申し出がセクハラやパワハラの被害者からあったら

<処罰しないで>

セクハラやパワハラの直接の被害者から「加害者を処罰しないでほしい」という申し出があった場合には、どのように対応したら良いのでしょうか。

被害を受けたその瞬間には大きなショックを受けたものの、後で冷静になってから、自分にも落ち度があったのではないか、ハラスメントとは言い切れないのではないかなどと考えが変わり、自分のせいで相手が懲戒処分を受けたら申し訳ないという気持ちになることもあるでしょう。

 

<ハラスメントの被害者>

さて、セクハラやパワハラの被害者とは誰でしょうか。

セクハラは、職場で性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、これらを拒否したことで不利益を受け、あるいは、職場環境が不快なものとなることをいいます。

パワハラは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛が与えられ、あるいは、職場環境が悪化するような行為をいいます。

こうしてみると、職場環境が悪化し不快なものとなることによって、直接行為を受けた相手だけでなく、その行為を見聞きした人も被害者になるということが分かります。

たとえば、店長が店員を叱責しながら殴った場合には、その場に居合わせた店員全員がパワハラの被害者です。

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パワハラ対策の義務化

パワハラ対策の義務化

<法改正>

令和元(2019)年5月29日、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律」が通常国会で可決・成立し、令和元(2019)年6月5日に公布されました。

施行日は、公布後1年以内の政令で定める日となっています。

 

<パワーハラスメント対策の法制化>

職場におけるパワーハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となります。そして、適切な措置を講じていない場合には、所轄労働基準監督署などによる是正指導の対象となります。

 

【雇用管理上の措置の具体的内容】

・事業主によるパワハラ防止の社内方針の明確化と周知・啓発

・苦情などに対する相談体制の整備

・被害を受けた労働者へのケアや再発防止等

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年次有給休暇と許可

年次有給休暇と許可

<労働基準法の規定>

労働基準法には、次の規定があります。

 

【労働基準法第39条第5項】

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

会社は、従業員が指定した日に、年次有給休暇を与える義務があるということです。

上司の許可が必要であったり、会社の決裁が必要であったりするルールは無効です。

ですから、「有給休暇申請書」というのは誤りであって、「有給休暇届」が正しいことになります。

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