月: 2019年6月

休憩時間の適正化

休憩時間の適正化

<労働基準法の定める休憩時間の長さ>

「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」〔労働基準法第34条第1項〕

したがって、出社後すぐの休憩や、休憩してからすぐに退社というのはできません。

また、8時間勤務で全く残業がないのなら休憩時間は45分と定めても適法です。

 

<休憩時間の短縮>

若いフリーターの中には、休憩時間を削って働きたいという人もいます。

しかし、休憩には心身の疲労を回復して、業務効率の低下を防いだり、労災の発生を予防したりする意味もありますから、本人の希望で短縮することはできません。

また、労働基準法の解釈にあたっては、行政も裁判所も、基本的には休憩が長いほうが労働者にとって有利であると考えています。

ですから、労働者が承諾しても希望しても、労働者に不利なことは認めないという労働法全体の考え方からすれば、基準を下回る休憩時間では違法となってしまいます。

“休憩時間の適正化” の続きを読む

有給・無給を変更する場合の解決法

有給・無給を変更する場合の解決法

<ノーワーク・ノーペイの原則>

勤務時間中に営業に出かけ、社有車の中で昼寝をしたとします。その時間の賃金が支給されなくても、常識に照らして仕方のないことだと思います。これは、ノーワーク・ノーペイの原則のあらわれです。

これは「働かなければ賃金は発生しない」という原則です。法令には規定がありません。労働契約の性質から当然に導かれるのです。

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立します。〔労働契約法第6条〕

つまり、働かなければ賃金が発生しないのは、契約の性質上当然なのです。

“有給・無給を変更する場合の解決法” の続きを読む

未払い賃金について従業員にも落ち度がある場合

未払い賃金について従業員にも落ち度がある場合

<残業代放棄の可能性>

企業側が意図的にサービス残業をさせていたわけではなく、従業員が勤務時間の管理・集計について、自らルール違反をしていた場合にまで、賃金の支払いをしなければならないのでしょうか。

こうした場合には、自主的に残業代を放棄していると考えられないのでしょうか。

具体的には、次のようなケースが考えられます。

・従業員が自主的に残業している場合

・従業員がタイムカードの打刻を怠っているとき

・従業員が事実と違う打刻をしているとき

“未払い賃金について従業員にも落ち度がある場合” の続きを読む

試用期間を巡るトラブル防止法

試用期間を巡るトラブル防止法

<採用段階での工夫>

採用担当者が「試用期間中に人物と基本的能力を見極めればよい。そのための試用期間だ」と思ってしまうと、応募者を厳しい目で見なくなってしまいます。

それでも、無事に試用期間をクリアして本採用になれば良いのですが「正社員として当社に迎え入れるには今一つ物足りない」ということで不採用になると、新人の入社手続きも育成も無駄になり、かかわった人たちの疲労、徒労感、会社に対する不信感は決して小さくないでしょう。次に新人が入ってきても、気持よく迎えるのがむずかしいかもしれません。

こうしたことを考えると、採用の段階で「余裕をもって試用期間をクリアできる人」を選抜しなければなりません。応募者の人数にもよりますが、正社員を採用する場合には、面接シートを使い効率良く面接をしても1時間以上かかると思います。

たとえば「パソコンの基本操作はできますか」「はい」というやり取りでは、何も分かりません。「エクセルの関数は何を使いますか」「パワーポイントでどんなプレゼンをしましたか」という尋ね方が有効です。

さらに、こうした「具体的に」という配慮は、求人広告の段階から必要となります。具体的な採用条件に合わない応募は、会社にとっても応募者本人にとっても、時間と労力の無駄になるからです。

“試用期間を巡るトラブル防止法” の続きを読む

居眠りする人が昇進する職場の問題

居眠りする人が昇進する職場の問題

<具体的な事例>

いままでパート・アルバイトに仕事の指示を出し指導をしてきた課長が部長に昇進し、その下で働いていた正社員が課長に昇進します。

ところが、課長に昇進した正社員は、勤務中、毎日のように居眠りする姿を見られていて、パート・アルバイトの失笑を買っていた人物でした。

自分たちと似たり寄ったりの仕事をしていたように見えた正社員が、居眠りをしていたのに昇進して昇給するというのは、どうにも納得がいきません。

これを放置しておくと、パート・アルバイトが新課長を信頼できず、その指示・指導に素直に従わないことによって、生産性が大幅に低下してしまうかも知れません。

“居眠りする人が昇進する職場の問題” の続きを読む

年次有給休暇を遡及して取得させる仕組み

年次有給休暇を遡及して取得させる仕組み

<法の規定>

労働基準法は、年次有給休暇の取得日について、次のように定めています。

 

【労働基準法第39条第5項】

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

「時季」は、長期の連休をイメージしますが、「取得日」という意味です。

この条文の「労働者の請求する時季」は、これから先の日付でも、過去の日付でも良さそうに思えます。

しかし、この条文の但し書きは、一定の場合には、使用者が他の日に年次有給休暇を与えることができると言っています。

労働者が過去の日を取得日に指定したのでは、使用者が取得日を変更できなくなってしまいますから、論理的に考えて、年次有給休暇の取得日の指定は、翌日以降の日でなければならないことになります。

“年次有給休暇を遡及して取得させる仕組み” の続きを読む

従業員から一筆もらっておくということ

従業員から一筆もらっておくということ

<民法の適用>

労働契約も契約の一種ですから、原則として民法が適用されます。

この民法には、任意規定と強行規定が混在していて、その区分は条文に明記されていないことが多いので、最高裁の判例などで確認しなければなりません。判例が無ければ、学者の学説などを参考にして判断することになります。

任意規定というのは、法令に規定があっても当事者がそれに反する意思表示をすれば、法令の規定よりも当事者の意思表示が優先されるものをいいます。当事者が何も意思表示をしない場合でも、任意規定が適用されることによって、契約の内容が補充されます。

強行規定というのは、法令の規定のうちで,当事者の意思にかかわりなく適用される規定をいいます。当事者が強行規定とは別の意思表示をしても、それは無効とされ、自動的に強行規定の内容に修正されます。

結局優先順位は、任意規定 < 契約など当事者の合意 < 強行規定 となります。

つまり、労働者から承諾する旨の一筆をもらったとしても、強行規定に反する内容であれば、無効になってしまうということです。

“従業員から一筆もらっておくということ” の続きを読む

就業規則の変更に対する不満と対策

就業規則の変更に対する不満と対策

<不満発生の原因>

従業員から就業規則の変更に対して不満が出るのは、形式面と実質面の問題が想定されます。

 

<変更手続き>

就業規則変更の正しい手順は、次の順番になります。

 

1.法改正や社内ルールなどの変更により就業規則変更の必要が発生

2.担当部署や社労士(社会保険労務士)が変更案を作成

3.社内での決裁

4.従業員への周知

5.労働者の意見書作成

6.労働基準監督署への変更届提出

“就業規則の変更に対する不満と対策” の続きを読む

免許保有を前提とする雇用の注意点

免許保有を前提とする雇用の注意点

<免許保有の前提>

タクシーの運転手が運転免許を取り消された、医師が医師免許を取り消された、となればもう働けないのだから解雇は当然という考えは常識でしょうか。

これらは、免許の保有を前提とする雇用に特有の問題です。

 

<法律では>

解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

“免許保有を前提とする雇用の注意点” の続きを読む

居眠りを繰り返す社員への対応

居眠りを繰り返す社員への対応

<居眠りを見た時の反応>

たまに職場で居眠りしている社員を見ると、思わず微笑んでしまうことがあります。

しかし、これが毎日のように続くと、微笑むどころか怒りに変わってきます。「こんなことが許されるのか」「こちらまで勤労意欲がなくなる」と思えてきます。

上司から厳しく注意して欲しいですし、場合によっては懲戒処分も考えて欲しいとさえ感じるようになります。

 

<懲戒権濫用法理>〔労働契約法第15条〕

しかし、「使用者が労働者を懲戒できる場合」であることを前提としても、次のような条件すべてを満たしていないと、その懲戒処分が無効とされるばかりでなく、会社は損害賠償の責任を負うことになります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・事件が起きてから懲戒処分の規定ができたのではないこと。

・過去に懲戒処分の対象とした行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・労働者に事情を説明するチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

“居眠りを繰り返す社員への対応” の続きを読む