月: 2019年5月

従業員への賠償請求についての社内規定

従業員への賠償請求についての社内規定

<非常識な弁償>

たとえば、会社で30年以上使われてきたホッチキスを、たまたま自分が使っていたら壊れたとします。

こんなとき、乱暴に扱ったわけでもないのに「あなたが使っていて壊れたのだから自分のお金で新しいのを買ってきなさい」と言われたら、決して納得などできません。

法律上も、こうした常識に反する解決を強制されることはありません。

 

<労働者の会社に対する損害賠償責任>

労働者が故意や過失によって、会社に損害を与えた場合には、損害賠償責任が発生します。〔民法第709条〕

物を壊すなど財産上の損害だけでなく、名誉や信用といった形の無いものに対する損害や、お客様に損害を与えたために会社が損害賠償をした場合も含まれます。

それでも、会社は労働者の働きによって利益をあげていて、危機管理の義務もありますから、リスクをすべて労働者に負わせるのは不公平です。

そこで裁判になれば、多くのケースで損害の全額を労働者に負担させることはできないとされています。

具体的には、労働者本人の責任の程度、違法性の程度、会社が教育訓練や保険で損害を防止しているかなどの事情を考慮して、労働者が負担すべき賠償額が判断されます。

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パワハラ被害者からの責任追及

パワハラ被害者からの責任追及

<パワハラと労働基準法>

労働問題の相談窓口といえば、最初に労働基準監督署が思いつくかもしれません。しかし、労働基準法にはパワハラについての規定が無く、労基署が企業を指導することはできないのです。ですから、被害者が労基署を頼ることはできません。

なぜなら労働基準法は、労働者を守るための基準を設定し、違反する使用者への罰則を定める法律です。ところが、パワハラを行うのは労働者であることが多く、労基法はこれを規制できないのです。

 

<パワハラと刑事責任>

では、警察に相談したらどうでしょうか。

パワハラが犯罪行為であれば、刑罰の対象となります。

殴れば暴行罪ですし、ケガをさせれば傷害罪です。たとえ言葉の暴力でも、名誉毀損罪や侮辱罪あるいは脅迫罪にあたることがあります。また、義務の無いことを強制すれば強要罪です。

警察は、犯罪に該当する可能性があれば動いてくれます。

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モンスター社員への対応

モンスター社員への対応

<モンスター社員の特徴>

モンスター社員は、他人がその人自身の考えで動くことを許しません。他人が自分の思い通りに動かないと気が済まないのです。

他部署の従業員や上司にまで、自分の考えを押し付けるのですが、相手がこれに従ったことにより悪い結果が出たとしても、モンスター社員は知らん顔をしています。自己中心的で無責任なのです。

何かと積極的で意欲的なのですが、相手の立場を考えません。協調性や配慮に欠けているのです。

しかし、プロジェクトのリーダーや部署のトップになると、リーダーシップを発揮し社内に強く働きかけ、大きな成果を上げることがあります。

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労働基準法の罰金で本当に怖いのは

労働基準法の罰金で本当に怖いのは

<30万円の罰金>

労働基準法には、「30万円以下の罰金」についての規定が50種類以上あります。

このうち、わかりやすいものとして次のようなものがあります。

・国籍や性別で賃金を差別する

・遅刻などに「罰金」を設ける

・業務災害による休業中に解雇する

・法定の休憩時間を与えない

・年次有給休暇を与えない

・満18歳に満たない者を午後10時から午前5時に働かせる

・労働条件通知書などにより労働条件を明示しない

・使用者側の都合で休業させたのに休業手当を支払わない

・法定の制限を超えて減給処分を行う

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人手不足の時こそ厳格な懲戒を

人手不足の時こそ厳格な懲戒を

<揺れ動く判断基準>

従業員が不都合な行動に出た場合、それが就業規則に定められた禁止行為であったり、義務違反であったりして、個々の具体的な懲戒規定に当てはまるものであれば、懲戒処分を検討することになります。

しかし、人手不足の今、たとえ従業員の落ち度であっても、けん責処分、減給処分、出勤停止などすれば、気を悪くして退職してしまい、会社に大きな痛手となるかもしれません。

こうして、人手が余っているときには懲戒処分が厳しくなり、人手不足の場合には多少のことに目をつぶるという企業の態度が見られることもあります。

一方で、従業員の方も、人手が余っているときには品行方正を保ち、人手不足のときには強い態度に出るということがあります。

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70歳以上の社会保険・労働保険

70歳以上の社会保険・労働保険

<70歳以上になると>

人材不足や働き方改革の流れから、70歳以上の高齢者を雇用することも珍しくなくなってきました。

従業員が70歳を迎えると、社会保険のうち、厚生年金保険は脱退(資格喪失)となります。

一方、健康保険と労働保険(雇用保険・労災保険)はそのまま加入し続けることになります。

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雇用関係助成金の不正受給対策強化

雇用関係助成金の不正受給対策強化

<令和元年度(平成31年度)の雇用関係助成金>

平成31(2019)年4月1日付で改正雇用保険法施行規則が施行され、新年度の雇用関係助成金が公表されています。

これに加えて、不正受給対策が強化されています。〔通達 平成31年3月29日職発0329第2号・雇均発0329第6号・開発0329第開発0329第58号〕

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内規の性質と効力

内規の性質と効力

<内規ということば>

「内規」を小学館のデジタル大辞泉で調べると「組織の内部に適用されるきまり」とあります。

しかし、就業規則も「組織の内部に適用されるきまり」であることから、内規と就業規則との区別が難しくなっています。

また、就業規則については、労働基準法に詳細な規定があることから、その効力や性質が明確です。

一方で、一口に「内規」と言っても、その性質は一律ではないため、効力についても統一的には把握できません。

 

<就業規則の一部となる場合>

就業規則に、次のような規定が置かれることがあります。

「身だしなみは、常に整えておかなければなりません。詳細は別に定める内規によります」

勤務にあたって身だしなみを整えておくことは、全社統一の要請であるものの、具体的な基準は本社、営業所、店舗などによって異なるため、それぞれの拠点で内規を定めて運用するわけです。

このように就業規則で概略を定め、内規に詳細を定めることにしてあれば、内規は就業規則と一体のものとして、就業規則と同等の効力を持ちます。

従業員の立場からすると、「これは内規に過ぎないから」と言って遵守することを拒めません。

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労働基準法の改正で発生する新型の違法残業

労働基準法の改正で発生する新型の違法残業

<基本の残業制限>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの制限を超える残業は「違法残業」ということになります。

 

<従来型の違法残業>

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って1日8時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

三六協定について適正な手続きを怠ると、違法残業が発生しやすくなります。

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パワハラ加害者にどう注意すべきかの迷い

パワハラ加害者にどう注意すべきかの迷い

<加害者に注意できない職場>

職場内にパワハラの常習犯がいても、どう注意したら良いのか悩んでしまう。あるいは、注意しても加害者にパワハラの自覚が無い、加害者が納得しないということがあります。

これはその職場で、パワハラ防止対策が適正に行われていないことによって、発生する悩みです。注意しようとした人、あるいは注意した人の能力不足ではありません。

 

<パワハラ防止対策の基本>

パワハラの加害者に注意できる状態にするには、次のパワハラ防止対策が必要です。

 

① パワハラの定義を、その職場の全員が理解できることばで就業規則に示す。

② パワハラの禁止を、就業規則に定める。

③ パワハラに対する懲戒処分を、就業規則に定める。

④ 具体的事例を踏まえたパワハラ研修を定期的に実施する。

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