月: 2019年2月

厚生労働省から公表された「労働基準監督官行動規範」

厚生労働省から公表された「労働基準監督官行動規範」

<労働施策基本方針>

平成31(2019)年1月11日、厚生労働省が「労働基準監督官行動規範」を策定し公表しました。

この行動規範は、「労働施策基本方針」(平成30(2018)年12月28日)の、第2章 労働施策に関する基本的な事項 1 労働時間の短縮等の労働環境の整備 (1)長時間労働の是正 の中で示された次の一節に対応するものです。

 

労働基準監督制度の適正かつ公正な運用を確保することにより、監督指導に対する企業の納得性を高め、労働基準法等関係法令の遵守に向けた企業の主体的な取組を効果的に促すこととし、そのための具体的な取組として、監督指導の実施に際し、全ての労働基準監督官がよるべき基本的な行動規範を定めるとともに、重大な違法案件について指導結果を公表する場合の手続をより一層明確化する。

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雇用対策法改正で加わった新たな目的

雇用対策法改正で加わった新たな目的

<雇用対策法の改正>

平成30(2018)年7月6日、雇用対策法が「労働政策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」へと改正されました。

この改正は、働き方改革を推進するために行われたものです。

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東大が有期雇用の無期化基準を変更した理由

東大が有期雇用の無期化基準を変更した理由

<無期転換の特例>

有期雇用の労働者は通算で5年を超えて働くと無期雇用に転換できますが、大学教員などに限っては5年より長い期間の研究プロジェクトに携わることもあるという理由で、教員任期法などにより10年超での転換が特例として定められています。

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毎月勤労統計調査の不適切な事務処理を巡って

毎月勤労統計調査の不適切な事務処理を巡って

<特別監察委員会の調査報告書>

毎月勤労統計調査の不適切な事務処理について、統計の専門家、弁護士等の外部有識者で構成される「毎月勤労統計調査等に関する特別監察委員会」で、事実関係と責任の所在の解明が行われ、厚生労働大臣に調査報告書が提出されました。

平成31(2019)年1月22日、厚生労働省がその内容を公表しています。

これは、延べ69名の職員・元職員に対するヒアリングや関係資料の精査等を踏まえ 、毎月勤労統計調査に関する様々な問題、指摘等について、事実関係とその経緯や背景を明らかにした上で、これ対する責任の所在ついて委員会として評価したものです。

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労災保険による給付の特徴

労災保険による給付の特徴

<労働基準法の規定>

労働基準法の「第八章災害補償」には、業務災害について次のような規定があります。

 

【療養補償】

第七十五条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかった場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

 

労働基準法には、他にも休業補償〔76条〕、障害補償〔77条〕、遺族補償〔79条〕などの規定があります。

 

<労災保険法の規定>

労災保険法(正式名称:労働者災害補償保険法)は、労災保険の目的を次のように規定しています。

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働き方改革による労働基準法第1条の役割の変化

働き方改革による労働基準法第1条の役割の変化

<労働基準法第1条>

労働基準法第1条には、労働条件の原則が定められています。

法令の第1条には、その法令の目的が掲げられていることが多く、この条文も労働基準法全体の目的を示しているとみることができます。

 

【労働条件の原則】

第一条 労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

 

この第1項を素直に読めば、「人たるに値する生活を営むための必要」というのは、人間らしい生活をするのに必要な収入が得られることを意味していると解釈できます。

また、第2項の「労働条件を低下させる」というのは、実労働時間を基準とした賃金の時間単価を低下させることを意味するものと考えられます。

このことからすると、時間外労働や休日労働は割増賃金となりますから、労働者が希望して積極的に残業や休日出勤を行い、より多くの賃金を獲得するのは労働基準法第1条と矛盾するものではないでしょう。

ところが、労働基準法は改正され、平成31(2019)年4月1日から一部の事業・業務と中小企業を除いて、残業時間の上限規制が行われます。

生活費の一部を残業手当に頼っている労働者にとっては、この法改正が「労働条件を低下させる」ことにならないのか、「人たるに値する生活を営むための必要」を満たさなくなるのではないかという疑問が生じるかもしれません。

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短時間労働者の就業規則の届に添付する意見書

短時間労働者の就業規則の届に添付する意見書

<就業規則の作成・届出義務>

就業規則の作成と届出については、労働基準法に次の規定があります。

 

【就業規則の作成及び届出の義務】

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。(以下略)

 

全体で常時10人以上の労働者を使用するようになれば、就業規則の作成・届出義務が発生します。

パートやアルバイトなど非正規社員が1人であっても、全体で10人以上であれば、その1人に適用するための就業規則が必要となり、作成・届出義務が発生します。もし作成しなければ、その非正規社員には正社員の就業規則が適用されることになってしまいます。

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労働安全衛生法第1条の「自主的活動」

労働安全衛生法第1条の「自主的活動」

<労働安全衛生法の目的>

労働安全衛生法は、この法律の目的を次のように規定しています。

 

【目的】

第一条 この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

 

この中の「自主的活動」が、誰のどのような活動を指しているのかは、労働安全衛生法の中に示されていません。しかし、主にリスクアセスメントを指していると考えられます。

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懲戒処分で許されない不意打ち

懲戒処分で許されない不意打ち

<就業規則が必要ということ>

懲戒処分を有効に行うためには、就業規則に具体的な規定のあることが必要です。

しかし、これは規定が必要だということであって、規定さえあれば十分ということではありません。

架空の例ですが、ある会社の就業規則に次のような規定があったとします。

 

【遅刻、早退、欠勤等】

第●条 労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に会社に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。

 

【懲戒解雇】

第●条 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。

○  1か月のうちに無断で3回遅刻したとき

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