急な休みを申し出る社員への対応

急な休みを申し出る社員への対応

<無断欠勤なら>

多くの会社には、正当な理由なく無断欠勤を続けた場合には懲戒解雇とする旨の規定があります。

こうした規定を置かずに行う懲戒解雇は不当解雇となり、解雇が無効となるので、会社が大きな痛手を被ります。

たとえ規定があったとしても、実質的な欠勤の有無、回数、理由が問題となります。

 

<年次有給休暇の取得なら>

急な休みの申し出が、年次有給休暇取得の意図なのか、欠勤のつもりなのか、判断のつかない場合があります。

就業規則などに、年次有給休暇取得の手続きについての具体的な規定があれば、その手続きに従わない申し出は認められないという言い分も、一応は筋が通ります。

しかし、口頭で年次有給休暇取得の申し出を受けている職場では、急な休みの申し出が、年次有給休暇取得の意図だったという主張を退けることができません。

ましてや、病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができるルールの職場なら、年次有給休暇扱いにせざるを得ないでしょう。

少なくとも、年次有給休暇取得の意図を主張されたら、「正当な理由なく」欠勤したという扱いはむずかしくなります。

 

<年次有給休暇取得の拒否>

同僚や上司の迷惑も顧みず、当日の朝連絡してきて急に休んでしまう社員に対しては、年次有給休暇取得を拒否したくなるかもしれません。

しかし、年次有給休暇は労働基準法が認めた労働者の権利です。〔労働基準法39条〕

週1回しか勤務しないアルバイトにも、この労働基準法に基づく厚生労働省令によって、年次有給休暇が与えられています。

そして、単純に年次有給休暇の取得を拒否してしまったら、1回につき6か月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑が定められています。〔労働基準法109条1号〕

それだけでなく、その社員から慰謝料を請求されることもありえます。

 

<最善の対応>

従業員が少ない会社でも、就業規則を作成し年次有給休暇取得のルールを規定しておきましょう。

また、社員教育を充実させて、労働者の権利を振りかざすことが、場合によっては権利の濫用になることも説明しておきましょう。

組織で働く一員として、会社を休む場合にはマナーを守る必要があるということを理解すれば、急な休みを申し出ることも無くなっていくものです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一